桜が散り新緑の青葉が目に沁みる。
海中の季節は分からぬが陸の季節は明確だ。
「さあクロダイだ、チヌの乗っ込みだぁ〜〜。」
毎年元旦から100日目を経過したあたりから本格的にチヌ釣りの始動と決め、
今年も釣れてくれるか、些か不安な気持ちとワクワク感が交錯するこの時期が最高である。
釣れる大きさは決められぬが、夢は大きく年無しクロダイを何とかタモ入れし、ガッツポーズを決めたいと思う歴5年のサンデーアングラーがここに居る。^_^;
「どう、釣れてる?」
「ダメ、顔みてないよまだ。」
「しゃあないなぁ。」
「でもD辺りでポツポツ挙がってるみたいよ。」
「えっ?、そうなの」
クロダイ仲間から情報を得て、あちこちのHPの書込み情報を確認すると、Dを本拠地とする「CLUB MASA」さんのHPで「イケピーさん、クロダイキャッチ!」を発見。
「釣れてる場所で竿出す」これが基本だなと思いつつ、激シブな福浦をいち早くパスして、 「プチ遠征(そのT)」と行きますかぁ!
早速、釣友に連絡を取って、「プチ遠征(そのT)」の決行と相成った次第である。
しかし、悪い事は出来ないものである。
前日から気になっていた風が予報以上に強い。かつ東南ときたもんだ。
この風向きじゃぁ、多分最悪! 下手すると波被るなと不安が頭を過ぎる。
案の定現場は波がバシャバシャ状態、遠目に白波の頭が確認でき、真っ直ぐ此方に向かってきている。沖に停泊中の大小の船舶の船首はキッチリ東南方向を向いている。
勇気ある撤退かボウズ覚悟で竿を出すか悩むところであるが、でも大体現場に来てしまった釣人に「撤退」の文字は浮かばない、私だけ?
もしかしたら風が収まってくるかもしれないなどと安易な考えが先に立ち、予定していた釣座に荷を下ろし、程なく釣行を約束していたmasaさんグループのタコさんも到着し、大きな期待を胸に秘め、揃って竿を出す。
昨年6枚程お世話になった「イケピーさんポイント」は友人に譲り、その下で沈みテトラの間を狙えばひょっとすると?本命がキャッチ出来るかもしれない、そう思い重めの環付水中ウキ仕掛けと短めのハリスで際を攻めることにした。
風とうねりで仕掛けは押されるものの流れ方(右から左)が安定しているのか、沈みテトラ付近でも根掛りすることなく、ゆっくりと流れていく。
ウキのトップは風の影響から斜めに傾いているが、水中の流れはさほど速くなくオキアミを銜えるには丁度良い?かも、天候を除けば濁った海水と雰囲気に何だか期待が持てる。
しかしながら、そんな期待とは裏腹に一向に竿が曲がらない、ウキに反応なし。
「あれ〜、おかしいなぁ」
左の友人は、キープサイズのアイナメを筆頭にメジナ、メバル、カサゴと順調に魚種を増やしていく。
居るんだよ、オ・サ・カ・ナ。
サカナの釣れる気配がまったく感じないまま時間が経ちそろそろ竿を出して1時間を過ぎた頃、初めてウキに変化があり、
「ん?、アタリか?」
トップが海中に没する寸前にアワセを入れるとズッシリとした重量感。
動けばお魚よ、するとズズッと沖目にゆっくり動き出す。
「よっしゃぁ〜」魚に合わせテトラの先端に移動し、前方に腕を伸ばしてやり取り開始。
沈みテトラの中に何度も突っ込む正体不明の魚を竿の弾力だけで交わす、流石ぁ〜、Vジョイント。綺麗に大きく曲がった竿はドラグを緩めたり、糸を出すことを拒否するがの如く、ためにためるとゆっくりと魚を浮かせてくれる。
安易に糸を出してから浮かせると云った大雑把なやり取りは許してくれない竿のようだ、反省。
ゴンゴンと突っ込むクロダイ特有の引きを少々味わいながら糸を巻き取ると、薄茶の海面を割って白っぽい魚体が見えた瞬間、オ〜ッと声が出た。
「デカイじゃん、このクロダイ!」
テトラの間から上手く取り込んだクロダイは、なんと50pジャストの大型であった。
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