懺悔の小部屋〜2号室〜  

罪深い仔羊達よ!悔い改めよ!〜


落とし込み部所属・くわぞーさんの懺悔

釣行日 2001年6月24日(日
時間 13:30〜18:00
場所 大磯漁港
釣法 イガイ餌による前打ち釣り
釣果 クロダイ45cm×1尾


奉行(以下略)            「これより吟味をいたす。面をあげぇーい」
くわぞー(同じく以下略)   「・・・・」

「その方、名をなんと申す」

「へい、くわぞーと申しやす」

「ふむ。してどこに住んで、何を生業にしておるのじゃ?」

「へい、追浜村でかさご漁をやっておりやす」

「ほう、かさご漁とな。奉行の調べでは木っ端やくざを集めて親分をしているとあるが・・」

「へい、お奉行様、そんな事はございません」

「ではこの調べは嘘だと申すか?」

「へい、お奉行様、それは・・」

「これ、くわぞー、いちいちその 『へい』は申さずとも良い!」

「へい、奉行様、承知いたしやした」

「くわぞー!その方奉行を馬鹿にしておるのか!『へい』は無用と申しておろうぞ!」

「へ・・あいや、はい、お奉行様」

「まぁ、よかろう。で、そのかさご一家のくわぞー親分とか呼ばれ、最近福浦村界隈で罪も無い小魚を釣り上げては悦に入っているとも調べにはあるが、誠か?」

「めっ、滅相もございやせん!お奉行様!あっしはかさご一筋でございやして、そのような事は・・」

「ほう、違うとな。まぁ良い。本日の調べでいずれ明らかになる事である。時にくわぞーとやら、その方福浦村で夜な夜な釣竿を出しては黒鯛なぞという魚を釣る一身を知っておるか?」

「へい、それならチラリと小耳にはさんだことがありやす」

「くわぞー!奉行は『へい』は無用ともうしておるのじゃ!以後その言葉を口にしたなら即刻遠島を申し渡すぞ!よいな!」

「へい・・・は低いより高い方が盗人には効き目があるらしいですな、お奉行様」

「くわぞー、少々苦しくはないか?」

「へい・・・は確か『閉』と書くのでございましたね、お奉行様」

「くわぞー、奉行はもう笑えない状況にあるぞ。八丈に行きたいか?」

「もっ、申し訳ありやせん!何卒、何卒、ひらに、ひらに・・・」

「調べがどこまで進んだのか、判らなくなっであろう。これ、書き方(←書記・記録係を表現したい)、これまでの覚え書きをこなたへ。・・・・・・・・・ふむ、なるほど。そうするとその方、その福浦村の一身については、覚えがあるのだな?」

「へい・・・穏無事に暮らしたいものですなぁ、お奉行様」

「くわぞー・・・・八丈への船、今すぐ準備してもよいぞ!」

「おっ、お奉行様、二度と、二度と申しません!ひらにお許しを・・・」

「して、その一身は誰が仕切っておるのじゃ?」

「何でも、めばるのひろ助と年無しの並平とかいう二人が仕切っているそうで・・・」

「ほう、小耳にはさんだ割りには妙に詳しいではないか、くわぞー。」

「いや、なにね、あっしの子分を使えゃ、こんなもんすぐ・・・」

「ほう、くわぞー、かさご漁を営むその方の口から子分とな。普通使用人を子分とは呼ぶまい。」

「・・・・・」

「かわいいやつよのう、簡単に尻尾を出しおる。まぁよい、その方のかさご一家については調べはついておる。今日調べたいのは先程来申しておる福浦の黒鯛一味のことである。よいな、くわぞー」

「・・・」

「よいか、奉行のところに届いた調べでは一昨日、大磯の宿場町に近い港で黒鯛を釣り上げ、それを持ち帰った輩がおるらしい。しかもその輩はどうもその福浦村の一味ではないかとの噂でな。それを調べておるのじゃ」

「お奉行様、それでしたら、その福浦の寄り合い一身を影で操っている代官がいると聞きます。」

「なに、代官とな!心して物を言うであるぞ、くわぞー。それが戯れ言であったら島流しでは済まぬぞ。よいな!して、その代官の名は?」

「へい!」

「・・・・」

「おや、お奉行様、今回は『へい』のお咎めは・・・?」

「ええーい!やかましい!それどころではない!先を続けぬか!くわぞー」

「ひっひっひっ・・・それでしたら遠慮なく・・・へい。何でもその代官様は廻船問屋の主と組んで福浦界隈の黒鯛を何尾も釣り上げようと企んでいるそうで・・・へい。」

「その代官と廻船問屋の名を申さぬか!」

「へい、代官様は鈴木久之新とかいっておりやした。で廻船問屋のほうですが、屋号がまるみ屋とか・・・」

「ほう・・・、してその代官と廻船問屋はその一身にどのような働きかけをしておるのじゃ?」

「へい、寄り合い一身の同志で釣り上げた黒鯛の数であるとか大きさ、これを『空中伝播式網目瓦版』とかいうもので、町人たちに知らしめているとか・・・」

「ふーむ、妙に詳しいではないか、くわぞー」

「へい、あっしの手に掛かればこの手の調べ事なんざぁ、朝飯前ってもんです」

「して、何故その福浦の寄り合い一身の誰かが、大磯の宿場港で釣り上げた黒鯛を持ち帰らねばならぬのだ。福浦界隈の黒鯛を釣るのがこの寄り合い一身の目的ではないのか?」

「へい、何でも福浦以外で釣れた黒鯛は珍しいとかで、その代官様と廻船問屋が懸賞をかけて福浦外の黒鯛釣りをそそのかしているとか」

「ほう、してその懸賞とは?」

「へい、これがお奉行さん、金襴緞子の座布団でさぁ!」

「どうでもよいが、くわぞー。その『お奉行さん』はないであろう。罪人の分際で調子付くでない!」

「へい、堪忍してくだせぇ」

「その『へい』も再び使用を禁ずる!よいな!」

「へい・・・安京と言えば千年余り続いた京の都ですなぁ、お奉行様」

「八丈行きの船は小柴港に準備ができたそうじゃ、くわぞー。これから乗るか?」

「ひらに、ひらに・・・」

「よくもそのように次から次へと下らない『へい』言葉を見つけ出すものよの。もう少し人様の役にたつ事を考えたらどうだ」

「あいや、すまぬこってす」

「調べに戻るぞよ。で、その座布団欲しさに他所におもむき釣りをしている訳だな?」

「へ・・あ、いや、それ以外にも先程申し上げた『空中伝播式網目瓦版』で懺悔に名を借りた自慢もできるとかで・・・」

「ほう、で、これまでその座布団と懺悔に名を借りた自慢をした者は福浦の寄り合い一身におるのか?」

「へ・・あ、いや、はい、何でもまるみ屋の主が自らと聞いておりやす」

「のぉ、くわぞー。もしもであるぞ、もしも、その方がその一身の中に身を置いたとしてじゃ、その座布団と自慢話ができるとしたら、その方どのようにいたす?」

「へ・・あ、いや、はい、あっしはそっち方面が大好きなおちゃらけ野郎ですから、すぐにでも他所の黒鯛を釣っておちゃらけの一発もかましたいと思ってまさぁ」

「ふむ、よくわかった。最後に聞くがくわぞー、、もしこの時期に大磯の宿場港で黒鯛を釣るとしたら、その方、釣りをする時の道具だてはどのようにいたす?また、この時期大磯ではどのような黒鯛が釣れると思うか?奉行に教えてはくれぬか」

「へ、あ、いや、はい。お安い御用で!まず、道具だてでやんすが、大磯といえばでっかい波消し足つき石塊がぎっしりでさぁ、で掛けた黒鯛はここに逃げようとしますんで、竿は腰のしっかりした硬い竿が必要なんでさぁ。あっしは『だいわ屋』の党名面戸  江須江久須 前打 超硬  十八尺を、そして糸巻きは『富士屋』の太鼓糸巻き、糸は『りょうび屋』の参番、ついでに針結び透け糸は弐番半、餌は烏貝の稚貝、これでこの時期に掛かる黒鯛は一尺五寸、これが来てもぐいっと浮かせるってわけでさぁ」

「ほう、ずいぶんと語ってくれたな、くわぞー。今奉行の手元に一昨日の大磯の黒鯛を持ち帰った下手人の手配書きがある。これから読み上げるので良く聞けーい!
釣人の身の丈伍尺六寸、使った釣竿『だいわ屋』の党名面戸  江須江久須 前打 超硬  十八尺、糸巻きは『富士屋』の太鼓糸巻き、餌は烏貝の稚貝、そして釣って持ち帰りし魚は黒鯛一尺伍寸!

かさごのくわぞー!福浦の黒鯛釣り寄り合い一身に身を置き、かつ一身の他のものが懸命に福浦の海で黒鯛を釣らんと夜討ち朝駆けで釣行するのを横目に金襴緞子の座布団と自慢話に目がくらみ、大磯の宿場に出没し釣り上げた黒鯛を持ち帰る悪行!
裁きを申し渡す!向こう壱拾年八丈への遠島!」

「・・・・・・」

「本日の調べはこれにて一件落着!皆の者、下がれーい!これから奉行はくわぞーに犯した罪の重さを説く。よってこれからこの場は奉行とくわぞーの二人きりとする。皆のもの下がれーい」

「お奉行様・・・・」

「さて、皆居なくなったようじゃ。近こう寄れ、くわぞー。八丈は遠いぞ・・・。
日々の仕事は責め苦のごとく辛いであるぞ・・
うん、どうじゃ、くわぞー。
奉行とて人の子、無闇に罪人を作りたくはない。そこでどうじゃ、くわぞー、大磯がそんなに釣れるのなら、この奉行をその大磯とやらに連れていってはくれぬか?その方の心がけ次第では八丈送りなぞ、無かったことにもできるぞよ・・・」

「おっ、お奉行様!」

「しっ、声が大きい。わかっておるな、くわぞー」

「へい、それにしてもお奉行様も悪ですなぁ・・・」

「何を申す、鈴木久之新やまるみ屋ほどではあるまい・・・」

ふぇーへっへっへっへ・・・・・


くわぞーさんの浮気1枚目=45cm、大磯にて

[大磯港の密漁証拠絵図]


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