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＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 昔、むかし、相模の国は福浦村というところに「ぽちこどん」と「まるみしゃん」と言う、仲の良い漁師がすんでおったそうな。 「うふぉほ〜い、まるみしゃんや、今日も全然釣れんのぉ」 「うふぉほ〜い、ぽちこどん、ほんに釣れんのぉ」 そんなこんなでこの二人、人がいいのかヘタなのか、漁の方はさっぱりで、うだつのあがらない暮らしをしておったそうな。 ぽちこどんの女房おひろは、寺子屋の手伝いをしながら家計を助け、ぽちこどんに言いました。 「お前さんや、そろそろ魚を沢山釣ってきてくれんかのう。娘三人にたまにはうまいもん食わせてやりたいし、きれいなべべも買うてやりたいもんだでのう」 「うふぉほ〜い、んじゃ今日こそ大きな魚を釣って来てやるからなぁ」 一方まるみしゃんの女房お千夏は 「キィ〜〜〜〜〜〜、あんた！いいかげんにちゃんと稼いでくれないと、あたしゃ餓えた小僧二人にあんたの父さんや母さんの面倒までみてるんですからねぇ！あんた釣りに行くなんて言って本当は町娘でもたぶらかしてるんじゃないのぉ！キ〜〜〜〜〜〜〜！」 「うふぉほ〜い、くわばら、くわばら、おいらも漁に行ってくるぞ〜い」 そんなこんなでこの二人、来る日も来る紐量には出るものの、相変わらず稼ぎの方はさっぱりでした。 そんな二人の所にお江戸で評判の「雲國斎田村麻呂」という日本一の釣り名人から便りが届いたのは暑い夏の日でした。 『ふぉふぉふぉ〜、ぽちこどんにまるみしゃん、なんかトホホしてるんだってぇ？ダメダメ！ちゃんと釣らないと。絶対釣れる秘伝の技を教えてあげるから遊びにおいでぇ〜。但し、二人が【福浦の掟】を破れるもんならねぇ、ふぉふぉふぉ〜』 福浦村の漁師の間には、昔から言い伝えられている掟があるのです。
「うふぉほ〜い、まるみしゃんや、やっぱ止めといた方がいいかのぅ。でも秘伝の技を見てみたいものじゃのう」 「うふぉほ〜い、ぽちこどん。なんのなんのかまうもんかね。沢山魚を釣らんとお千夏がうるさいでのぉ。黙ってりゃ判りゃせんって」 まるみしゃんにそそのこされて、ぽちこどんもその気になり、二人はお江戸へ行くことに相成りました。 「うふぉほ〜い、お千夏から路銀をくすねるのに苦労したぜぇ、おかげで腰がふらふらだぁ」 「おふぉほ〜い、夕べはドキドキしてつつい飲みすぎたぜぇ、おかげで今朝は寝坊してもうた」 そんなこんなでようやくお江戸に着いた二人は早速、田村麻呂の船に乗り込み、釣り場へ向かったそうな。 「ふぉふぉふぉ〜、ぽちこどんにまるみしゃん、ようみとりゃ。チヌなんてこうやって♯＄％＆すりゃ、か〜んたんに釣れるんじゃ」 田村麻呂はそう言うと早速見事なチヌを釣り上げました。教えられた通りに釣り始めた二人でしたが、 「うふぉほ〜い、ぽちこど〜ん！釣れた釣れたチヌじゃ〜！」 「うふぉほ〜い、まるみしゃんや！オラにも釣れたぞぉ、チヌじゃ、チヌじゃ〜！」 こんな二人にも、早速チヌを釣ることができました。さらに田村麻呂は 「ふぉふぉふぉ〜、今度は大きなチヌを釣ろうかのう、ここを＄＠＊♯して、あれを＆％＄♯すりゃええんじゃ」 「うふぉほ〜い、まっ、まっ、まるみしゃ〜ん！大変じゃ、大物じゃ、上がらんぞぉ〜、田村麻呂さん助けてくれぇ〜」 田村麻呂の差し出す網に入ったのは、二尺八寸（５４糎）の大物でした。  【ぽちこどん生涯初のトシナシ５４ｃｍ】「うふぉほ〜い、ぽっ、ぽっ、ぽちこｄ〜ん！大変じゃ、上がらんぞぉ〜、田村麻呂さん助けてくれぇ〜」 まるみしゃんの上げたのも、二尺七寸近い（５０糎）の立派な黒鯛でした。  【まるみしゃんもトシナシ５０ｃｍ】そんなこんなでこの二人、日が暮れるまで田村麻呂の秘伝の技を教わりながら、生涯初の大漁に狂喜乱舞したそうな。 田村麻呂は日本一の釣り名人。８枚ものチヌを釣り上げて、ぽちこどんは二尺八寸（５４糎）を筆頭に６枚のチヌを、まるみしゃんも４枚のチヌを獲ることができたそうな。 そんなこんなで大喜びの二人、帰りの道中も秘伝の技やら今日の大物の話題やらで大騒ぎ、【福浦の掟】のことなど、お構い無しで・・・。 |
 【ぽちこどん大満足】 |
 【笑いの止まらない二人】 |
さぁ、この二人。福浦村で秘伝の技を駆使して釣り名人になれるのか、それとも掟を破った祟りを受けるのか、その答えが判るのはもう少し先のこととなりそうです。 |
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| お・わ・り | |
