めくるめく官能の世界


浮気・・・
なんと甘美な響きを秘めた言葉だろう。
男なら誰しも憧れる世界かもしれない。

そんな「浮気」の実現を夢見て、何度密かなアタックを重ねた事だろうか。
しかし、こと「浮気」に関しては全くの素人である私・・・
当然のようにふられ続ける。
嗚呼・・・。

ある男が私の耳元で囁いた。
「浮気をするんなら、いい小道具を使わなきゃ！」
そうか！小道具か！
「浮気」と言えばてっきり「竿1本」で勝負するものだと思っていた私は、この一言で開眼した。

しかし良い小道具を揃えてはみたものの、自慢の竿はなんとも柔らかすぎて、いざという時心配だ。
本当に大丈夫だろうか・・・。

別の男が私の耳元で囁いた。
「浮気をするんなら、まず食事に気を使わなくちゃ！」
そうか！食事か！
「彼女」は一体何が好きなんだろうか・・・。

いろいろ考えた結果、ここは奮発してカニ料理をご馳走する事にした。
しかし「彼女」はカニを食べてくれるだろうか・・・。

そういえば昨日友人がカニをご馳走したが、食べるだけ食べてドロンされたらしい・・・。
どうやら最近の「彼女」達も一筋縄ではいかないようだ。
素人の私の誘いに落ちてくれるだろうか・・・。

いろんな不安を抱えながら、今日も「浮気」のターゲットを探す私・・・。
「彼女」を誘うには最高のロケーションである海が目の前に広がっている。

何度も何度もアタックを繰り返すが、見向きもしてくれない「彼女」達・・・。
やはり「硬派」の私には「浮気」は向いてないのだろうか。

・・・と諦めかけたその時、私の誘いに熱い視線を送る者がいる。
すかさず用意したカニをご馳走する。
「お嬢さん、どうぞ・・・」

しかし「彼女」は折角のご馳走を少しだけ食べて私の前から去って行ってしまった。
食事を口にしたらこっちのもの！と少々強引にたたみかけようとした私・・・。
やはり「焦り」は禁物か！？

何となく「浮気」のコツがわかってきた私・・・。
萎えた気持ちに喝を入れて再び誘い続ける。
するとまたしても熱い視線・・・。
今度の「彼女」は、私の下心を知ってか知らずか、用心深くカニを少しずつ食べている。
ここはじっくり、じっくり攻めなければ・・・。

やがて気を許したのか、「彼女」はカニを一気に口にし、次の瞬間、私の自慢の「竿」に猛烈な勢いでにのしかかってきた！
さ・・・竿が耐えられない！！！

ここでへばってしまっては又しても絶好の機会を逸する！
何が何でも耐えなければ！
必死でこらえて「彼女」を攻め続ける私・・・。
その苦しみがやがて快感に変わっていく・・・。

あぁ、これが「浮気」か！
数分間の官能の世界が私を包み込む。
やがて昇りつめた「彼女」は、私の胸で静かに眠った。


神よ！
この罪深き男をどうかお許し下さい。
とうとう私も「浮気」をしてしまいました。
これからは真面目に生きていきます。
・・・できる事なら。