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投稿者 ひさ
釣行日 2000年11月3日(土)〜11月11日(土)
場所

釣り自粛〜復帰〜本命ゲット・・・喜びもひとしお!

平成12年9月5日、海を愛し、海と共に生きた父が74年の生涯を終えこの世を去った。骨髄異形成症候群・・・正常な血液を自分で作り出す事が出来なくなるこの病気は、発症してから僅か1ヶ月という短期間で父の命を奪っていった。思えば人間の命なんていうのは本当に儚いものである。
「管理人室」でも紹介しているように、私は幼い頃から「魚」に対して一種の嫌悪感のようなものをずっと持ち続けていた。それどころか「漁師」という父の職業に対しても、必ずしも好意的な方ではなかった。そんな私が、父の晩年になって初めて釣りという素晴らしい趣味と出会い、少しでも海を愛する父の胸中に近づけたのかと思うと、深い感慨と共に父の大きさを今更のように実感できるのである。

話が暗くなってしまった・・・。
そんな訳で、父の四十九日法要までの期間は釣りを自粛する事にした。一方では「服喪」という「常識」があり、また一方では「漁師を生業としていた父だから釣りくらいは・・・」という「甘え」もあり、とにかくこの期間は絶えず心の中で葛藤していた。
そんな心の葛藤を振り払いたい時は、とにかく海へ行く事にした。海を見ていると「釣りをしたい!」という衝動に駆られる事も事実だが、そのうちに自然と穏やかな心に戻っていく・・・。本当に不思議な感覚だ。そう言えば父も漁に出ない日でもよく海を眺めに行っていたっけ。

おっと!また感傷にふけってしまった・・・。
とにかく自分で釣り自粛を決めた以上は、男として後には引けない。こんな私でも福浦チヌ同好会の方々は皆で盛り上げてくれている・・・。よし!この期間は福浦チヌ同好会の為にできる事を一生懸命やろう!と堅く心に誓ったのである。
そして今改めてこの期間中のログを眺めてみると、kiki師匠のミレニアム50号があり、OLMがあり、落とし込み部の快進撃があり、そして何よりもオンダさん・まーにゃんさん・くわぞーさんの3人が福浦1号をゲットしてくれた。管理人としては良くやった方だと「自分で自分を誉めてやりたい!」気分である。
これだけ一生懸命やったんだから、福浦の海神様はさぞ立派なご褒美を授けてくださるだろう・・・。
しかしそんな下心を海神様はすっかりお見通しだったようだ。

復帰戦は11月3日、文化の日。16時出動。
かねてから気になっていた3番、いつもの4番〜5番は風の為入釣できず、仕方なく勝手のわからない9番での勝負となった。
結果は惨敗・・・。右隣でナミ部長がカイズをバラし、左隣でkiki師匠が目の前で2枚も本命をあげる中、自分はと言えば、ライントラブルは起こすわ、リールはいかれるわで、とにかく全く釣りの感覚そのものを無くしてしまっている。一体釣り自粛期間中のイメージトレーニングはなんだったんだろうか!結局アタリすら取る事も出来ず無念の敗退、挙句の果てに帰りに携帯電話をなくす始末で、散々な復帰戦となってしまった。

この週末は3連休。当然翌日もリベンジを期して福浦詣では続く。
11月4日(金)、この日も16時頃現地着。海は相変わらず荒れている。今日は無理して4番か5番で竿を出そうか、再び9番へ行こうか悩んでいると、5番ーC付近に見覚えのあるウェア姿が・・・。オンダさんである。聞けばオキアミ解凍してしまったので、できる限り竿を出すと言う。周辺にも結構釣り師が入っているようだ。やはり夜釣りは自分の周りにウキやらケミやらが舞っていて欲しいもの・・・。一旦9番を覗きに行くが、予想通りカゴ師の占領状態に5番で竿を出す事を決意、5番ーTで17時頃に実釣開始。
しかし、やはりこの選択も間違っていたようだ。正面から吹き付ける風は予想以上に強敵で、ライン操作が侭ならない。それでも開始直後に微妙なアタリにアワセを入れるとガツ〜ん!・・・しかし生物反応無し。「な〜んだ根掛かりか!」と回収の為に竿を再度振り上げた瞬間「ゴンゴンゴン」という例の3段引き・・・あっ、あれ〜と思う間もなくテトラの中へ・・・その瞬間にラインから高切れ・・・。海中に消えていったウキはやがてスーっと海面に浮かび上がったが、玉網のちょうど届かない位置で固定、全く動かず回収不能となってしまった。
その後のアタリは皆無で、しかも再び高切れによる2本目のウキロスト・・・。おニューのラインなのになんでだよ〜!
思い返すと、この日は釣りをしているより仕掛けいじってる時間の方が長かったような気がする・・・。
波間に浮かぶ2つのケミトップのウキを恨めしそうに眺めながら帰り道につくと、左隣に入っていたのがたもさんと判明。しばらく談笑して、顔で笑って心で泣いて・・・寂しい家路についた。

次の釣行日は11月8日(水)、代休を取って昼間だけ4番恵比寿ポイントに入釣。相変わらず風が強い。
明るいうちにライン操作の感覚を呼び戻そうと企んだが、結局この日も風の影響をモロに受け、外道数尾の貧果に終わった。

さー、こうなってくると完全にリバウンド状態である。
なぜこうまで福浦の海神様は私に試練をお与えなさる?このままでは収まらない。「絶対1枚釣り上げてやる〜!」再び気合を入れる。
そしてその日は意外に早くやってきた。

11月11日(土)復帰第四戦、我々電機業界では「乾電池の日」である。プラス〜マイナス〜プラス〜マイナスをもじっているのだ。私の気分もまさにプラス〜マイナス。「ダメかも知れない」と「絶対釣ってやる」の交錯状態が続いている。ひょっとしたら既にクロダイ釣りの中毒症状に陥っているのかもしれない・・・。
相変わらず風は強い・・・これには完全に閉口である。ここで普段の私なら大いに悩んでしまうところだが、この日は前回の教訓を元に迷わず9番入釣を決める。・・・この瞬時の決断が結果的に幸運を招いたのかもしれない。
午後5時過ぎに実釣開始。場所は先日のナミさんポイント。
相変わらずカゴ師の占領状態だったが、偶然にもここにいた釣り師が帰り仕度。「やめるんですか?」と聞くと「やってもいいよ」との返事。
「ラッキー!」と思いながら早速仕度に取り掛かる。
第1投でいきなりウキにアタリ・・・あわせると結構重い。あげてみると良型のメバルである。「そう言えばここのところお土産(釣果)持って帰ってないな〜」と思い、こいつをキープ。すると隣でカゴを投げていた人がウキロストの為にやむなく釣りを断念。大量のアミコマセをプレゼントしていってくれた。・・・なんだか今日は幸先がいいぞ!
しかししばらくして気付くと、今日は後ろにやけにギャラリーが多い。しかもアベックや家族連れといった、およそ釣りには縁の無いような人たちばかりが集まって来る。「いつもと様子が違うぞ??ひょっとして・・・」と思った瞬間、始まりました!目の前でとても賑やかな花火が・・・。
しまった〜!今日は土曜日だった〜!
これじゃ〜チヌ様も動きはしまい・・・。しばらくは竿を休めて花火と付き合う事にした。その間に今日福浦で竿を出しているであろうおかしやさんの携帯に電話。彼は4番にいるらしい。「かなり波をかぶっているから、花火の終わった頃にそっち行きますよ」との返答であった。
花火は意外に早く終わり、19時には釣り再開、そして21時前頃だったか、約束どおりおかしやさんが登場した。
今日は下げ止まり位まではがんばってみよう・・・と思っていたので、コマセの中に先程もらったアミコマセを混ぜ込んだ直後から突然ウキへのアタリが活発になる。
そして迎えた21時45分、モゾモゾっとした後で電輝ドングリが気持ちよくス〜っと海中に消えていく。すかさず合わせるとガツンと1回突っ込み。そして走る・・・期待に胸を膨らませたが、その後の抵抗はあまりしない。竿の曲がりは十分なのだが・・・。
浮かせるまではそう時間がかからなかった。隣にいたおかしやさんがタモ入れ、あげてみると念願の本命だった(33cm)。瞬間、前回の本命ゲットからの3ヶ月間が走馬灯のように頭を駆け巡った。
・・・いろいろあったな〜、2000年。
その後10時15分に微妙なアタリにアワセを入れ、乗った魚をタモを使わず一気に抜きあげてみると、こいつも25cmと小さいながらも本命クロダイ。残念ながらアワセがヘタクソな私は2枚ともハリをしっかり飲み込まれており、仕方なくキープさせてもらった。
その他この日は納竿までにカサゴ・メバル・ソイと、結構な型があがり、久しぶりに釣りの楽しさを堪能できた。

翌日の朝の我が家は大騒ぎである。自分では大した釣果ではないと思っていたが、冷蔵庫の中の魚を見て娘たちがおおはしゃぎしている。娘たちはこの魚を見て釣りへの情熱が再び蘇ってきたらしい。そしてその横で女房殿も晩のおかずが助かったと言わんばかりの笑顔で立っている。

いろいろあった2000年・・・。
大好きな釣りのできない私をいつも見ていてくれて、そして今久しぶりに釣りをして釣果を持ち帰った私を暖かく迎えてくれている家族がいてくれる・・・。
今思うと、そんな暖かい家族と、福浦チヌ同好会の皆さん、そして何よりも天国のオヤジが釣らせてくれた復帰1号・2号だったと思う。

皆さん、その暖かい心で、次は2桁&50cmオーバー釣らせて下さいね!

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